あっという間に放課後がきた。
眠い目をこすりながら、隣の席でいそいそと帰る準備をしている芙実ちゃんに声をかける。
「芙実ちゃん、かえろー」
「あ……」
芙実ちゃんはしばらく目を泳がせたあと、「ご、ごめん!」と顔の前で両手を合わせた。
え? なんで急に謝られたの?
「今日、実は……その、松野くんと帰る約束してて……!」
急な進展に驚きが隠せないんですが?
え、え、松野くんとふたりでってこと?
そんなのもう放課後デートじゃん。
「それは大事だね。わたしのことは気にしないで楽しんでおいで」
「うん……ありがとっ」
かわいいなあ。
芙実ちゃん。
恋する乙女。
松野くんに会いたくて仕方ないって顔してる。
……わたしも、”恋する乙女”に見えてるかな。
主観じゃわかんないけど、恋愛に関して客観的になんて絶対無理だとおもう。
嬉しそうに教室のドアに歩いていく芙実ちゃんの先に、松野くんが見えた。
……あれで付き合ってないの、変だよ。やっぱり。



