ーー平穏なんて言葉、わたしの辞書にない。
あの超人気者である榛名聖里と登校した時点で、どうなるかなんてあらかた予想ついてた。
隣を歩くだけで集めまくる視線。
『なんであの子が?』
『榛名くんの彼女!?』
聞こえてくる噂話。
はい、わたしなんかが隣歩いてごめんなさい!
彼女じゃないです、ただの顔見知りです!
心の中でひたすら周りの視線におびえていたわたしを横目に、聖里くんは余裕そう。
なんにも気にしてないような顔して堂々と歩くから、やっぱり人気者は違うなあって……。
「な、ぎ、ちゃん!」
やっとの思いで教室までついて聖里くんとバイバイすると。
第一の刺客、芙実ちゃん登場。
バンッ、とわたしの机に両手をついてなんだか目を輝かせている。
……あー、そうだよね、気になるよね。同居してること結局言ってないんだった!
「もうすでに超うわさになってるよ! なにあれ、ついに付き合ったの!?」
「……お、落ち着いて」
わたしがなだめても、興奮冷めやらぬといった様子でわたしの隣の席に腰をかけた。
ついにって……なんだ。違うよ。付き合ったわけないでしょ!



