金曜日の朝。
この同居が終わる夢を見た。



……夢なんか見なくたって、どうせ来週で終わっちゃうのに。





「——ぎさ、なぎさ」





まだ夢を見てるんだろうか……。
不思議と、聖里くんの声が聞こえる。



話したいという思いが強すぎてついに幻聴を……。




うっすら開けた瞼の先に、朧気な聖里くんがいる。
幻聴だけじゃなくて、幻覚まで……。




「……んん?」





むに、むに。
幻覚の聖里くんに手を伸ばして頬を触ってみたら、ちゃんと感触がある。
やけにリアルな夢だなあ……。




のんびりそんなことを考えていたら。
急に、パシッと手首をつかまれた。
……えっ?





「なぎさ……襲われたいってこと?」



「っ……!?」





声も出なかった。
急にはっきりした視界の先では、聖里くんが少しだけ頬を赤らめている。





……ゆ、夢、じゃない……!?