「……俺がこんなこと言うのもなんだけどさ」
俺と有馬しかいない、静かな保健室。
とっくに始まった六時間目のおかげで、廊下からも一切音は聞こえない。
「お似合いだよ、お前ら。……お互いのことしか見えてなくて、ほんと無理」
涙をこらえるみたいに、天を仰いだ有馬。
俺は思わず目を見張って、心の中になぎさを浮かべた。
……お互いのことしか見えてない、か。
本当にそうだったら、いいんだけどな。
好きになった理由は単純だった。
だけど、知れば知るほどなぎさのことが欲しくなって、ただの同居人じゃいられなくなっていた。
……人間ってさ、ないものねだりだよな、なぎさ。
「お前もまだ好きなんだろ? なぎさちゃんのこと」
「うん。好き」
「即答……。あー、はいはい、そうですか」
面白くなさそうな顔をした有馬は、「じゃあ、まあ、とりあえず」と続けた。
「……付き合わなかったら、絶対許さないから」
言われなくても。
なぎさを俺のものにするまでは、人生に終止符なんか打てないよな。
そう考えたら、いても経ってもいられなくなった。



