「なぎさちゃんのこと、ずっと前から好きだった」
「……それって、いつくらい?」
聞くと、月の光に照らされた有馬くんの綺麗な顔が、ふっと目を細めた。
「去年から、ずっと。……今も、継続中」
「……うん」
そんな前から好きでいてくれたの?
なんて、ありきたりな驚嘆しないよ。
もっと聞かせて。
有馬くんの話。
「好きになってから、今まで。何度も、話すきっかけを探ってた」
「うん」
今の、わたしとおんなじ。
でも……ちょっとちがう。
「だから、なぎさちゃんと二人でデートできたのだって、奇跡とか夢とか、そういうの疑ってる」
わたし、また笑った。
だってね? 有馬くん。
「奇跡でも、夢でもないよ。……楽しかった、日曜日」
「うん、俺も。……改めて、好きだなあって思った」
胸が締め付けられた。
こんなわたし、好かれる要素なんか一個もない。
でも、好きでいてくれてありがとうって言いたい。
楽しい思い出をくれたから。



