「……おまたせ」
夜は少しだけ肌寒い。
もう少し暖かい恰好をしてきたらよかったと後悔する中、有馬くんを見つけた。
意味もなくブランコに座って足を揺らしている。
地面を蹴って、離して、蹴って、離して……。
「座る?」
「……それ、たのしい?」
「うーん。まあ、童心にかえればたのしいかな」
じゃあ、いまの自分では楽しくないってことじゃん。
ふふっと笑いながら、有馬くんの隣のブランコに座った。
久しぶりだな、この感触。
下手したら幼稚園ぶりくらい?
どうでもいいことを考えていたら、有馬くんが口を開いた。
「俺さ」
「……うん」
今から、なにを言い出すんだろう。
心臓がドキドキ、うるさい。



