【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。







「……あっ、見て有馬くん!」


「んー?」





有馬くんの袖をくいっと引っ張りながら指をさすわたし。
視界に映るのは、『移動動物園』の上り旗。



移動動物園なんて幼稚園ぶり? 小学校だっけ?
学校に来てくれて、モルモットとかうさぎとか触れるの。





「なぎさちゃんって動物すき?」


「大好き! ちょっと寄っていい?」






近寄ると、数匹の小動物が子供やら大人やらに抱かれて心地よさそうにしていた。
触りたい動物のうしろに並んで自分の番を待つ形式みたい。



わたしはモルモットのうしろに並んで、しばらくすると順番が回ってくる。




わたしのそばに立ってるだけの有馬くんは、



「お兄さんも抱っこするかい?」




なんて聞かれてたけど、「いや俺は、見てるだけで十分です」って断っていた。
遠慮せず触ればいいのに。それとも、動物苦手?





「見て! もふもふしてる。かわいいね」


「……うん、かわいい」





有馬くんはまた目を細めて、スマホを構えてパシャパシャと数枚写真を撮った。
いまは気分がいいからね。大人しく撮られてあげる。





「本当に触らなくていいの?」


「うん。かわいいなぎさちゃん見れたから、満足」


「……かわいいのはわたしじゃなくてモルモットなんだけどっ」





ムスッとしながら有馬くんを少し睨んで、モルモットを飼育員さんに引き渡す。
移動動物園の人だかりの中を抜けると、有馬くんは突然こんなことを言い出した。





「一緒に行きたい場所あるんだけど、いい?」


「行きたい場所? いいけど……」




言われるがままついていくと、向かった先は駅で、どうやらここからまた電車で移動するみたいだった。
一体どこにつれていかれるんでしょうか……。