「有馬くんもたべる?」
「俺はいいや」
注文入り口で尋ねると、有馬くんは首を横に振った。
甘いの苦手だっけ?
「すいませーん、いちごあめロング一本ください」
「はーい」
店員さんののびのびとした返事。
そして、うしろから聞こえる「しかもロングかよ」という笑い声。
……いいじゃん、いちごあめ好きなんだもん。
笑われたことにむすっとしながらイチゴあめを受け取って、「ごめんね」という空返事を聞いた。
それで許してあげるわたし、マジ優しいからね!
「いただきます」
小さくつぶやいて、大きないちごを一口。
ーーパリ、パリ
ーーザク、ザク
ーーパシャ
……ん?
今、なんか変な擬音聞こえた?
パシャ? ……って、なんの音だ?
一番の心当たりである有馬くんのほうを向くと。
「あ」
カメラ構えてるの、みちゃった。
「と、撮った?」
「……バレたかあ」
「消して! もう!」
逆になんでばれないと思った?
せめてシャッター音消せるアプリで……いや、それでもだめだよ!
「だってかぶりついてるなぎさちゃんかわいかったんだもん」
「えー……恥ずかしいから、誰にも見せないでよ」
「見せない!」
ほんとかなあ。