「いや、全然待ってない。むしろ来るのはやすぎくらい」


「でも有馬くんのほうが先にいたよ」





……聖里くんと顔を合わせるのが気まずかったから、聖里くんが起きる前に急いで出てきましたとは言えず。




結局お互い合わせて、予定してた時間の20分も前に集合が完了してしまったわけですが。




「俺ら朝から元気だなあー」


「いや……、元気なのは有馬くんだけ。わたし超眠いもん」


「えー。俺といるのに眠いってひど」




ふわぁ、とあくびをこぼしながら、眉毛を下げて笑う有馬くんが視界に入って、ハッとする。
確かに今のは失礼だったかも、と思って謝ろうとしたら……。





「いいよ。あくびしてるなぎさちゃん超かわいかったから」


「……」





甘い言葉で黙らされた。
すごく悔しい。……絶対仕返ししてやる。





「なぎさちゃん、食べ歩きしたいって言ってたけど食べたいのあるの?」


「あっ、うん! いちごあめ食べたい」


「……チョイスが女子すぎ……」


「嫌だった?」


「ううん、なぎさちゃんも女の子なんだなあと思って」





……え、なに今更?
疑うまでもなくわたしは女子でしかない! でしょ。



失礼しちゃうなあ。
まったく。