【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。






SIDE 聖里









人生に終止符を打つなら、まさに今がベストタイミングなんじゃないかなと思う。



……こうなったのは、全部俺のせい。




「お前もバカだよな、なんでわざわざあんなことしたわけ?」




土曜日の昼下がり、がやがや騒がしいフードコートでなんとか聞き取った朝日の声をきっかけに、俺は昨日一日のことを振り返った。





……ことの始まりは、なぎさが知らない男と一緒に歩いているのを見たことだった。



あの光景は俺には刺激的すぎて、一瞬で胸が焼け落ちるような嫉妬に駆られた。
ただ、なぎさが男と荷物を運んでただけ。
それだけなのに、改めて自分の嫉妬深さを認識させられた。




なぎさに聞くと、その男の名前は”有馬”というらしい。
重ねて、朝日にもそいつについて聞いてみた。




『朝日、有馬って知ってる?』


『あー? 有馬周音だろ? 知ってるもなにも有名人じゃん』




有名人……そうなのか?
なぎさはやっぱりああいう男のほうが好き……とか。




『なに? お前が他人に興味持つなんて珍しいじゃん』


『……いや、別に……なぎさが』


『折田が?』


『……なんでもない』





二言目に”なぎさ”という言葉が出てくるあたり、本当に重症だと自分を笑った。
少しでも多く名前を呼びたい。
少しでも長く触れていたい。



毎日、なぎさに溺れていった。