【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。







「うち両親基本家いないからくつろいでいいよ」


「……え?」





待って。
なんていったの、いま。





「あれ。もしかして聞いてなかった?」


「……き、聞いてない」


「適当だなあ、あの人も」





いちばん大事なことじゃない? それって。
だってわたし、まだ大事な17の女の子だし、男の子と住むならなおさら……!




まあ昔から諦めるのは得意だしね……主にしいちゃんのせいで。
こうなってしまったものはしかたない。
榛名くんと……うまくやっていけるかは、まだわからないけど。





「じゃあ、一か月間お世話になります」


「飲み込みはやいね、折田さん」


「無茶ぶりには慣れてるので。あと、なぎさでいいですよ」


「わかった。……じゃあ、なぎさも敬語禁止ね」





交換条件、突きつけてきた。
でも確かに、一か月ずっと敬語なのも肩が凝りそうだし、そもそも敬語あんまり得意じゃないし。





「うん。えっと、わたしはどこの部屋使えばいい?」


「案内するね」




榛名くんの後ろ姿を追いながら、サラサラ揺れる亜麻色の髪をじっと眺めていた。
すごい……本当に、いま同じ空間にいる。
当たり前だけど、家中が榛名くんの匂いで、なんだかドキドキした。



もちろんそれは自分じゃない他人の匂いだからっていうだけで、榛名くんに限ったことではないけど。
でも、これからの生活に胸を躍らせている自分がいるのもまた事実だった。