「きゃーっ、松野くん超かっこいいんだけど!」
「……そうだね」
体育館の隅。
きゅっきゅっとバッシュのこすれる音を聞きながら、わたしは抱えた膝にあごをのせて観戦モード。
隣で騒ぐ芙実ちゃんの声援に適当な相槌を打って、わたしの魂はまたしてもどこかへ。
今日の体育は、聖里くんたちのクラスと合同。
よりにもよってこんな日に、無理矢理にでも聖里くんのことを視界に入れさせようとしてくるなんて。
神様はいじわるだ。
「なぎちゃんって、松野くんよりは榛名くん派なんだっけ?」
「……んー」
「それとも有馬くん派?」
派、とかじゃないんだよなあ。
聖里くんは、いつの間にか横にいるのが当たり前になってた。
学校では会話こそしないものの、もう完全に”顔見知り”のレベルは超えている、と思ってる。
「ねー、なぎちゃん?」
「……芙実ちゃんって、喧嘩したらどうやって仲直りする?」
「え? なぎちゃん、誰かと喧嘩中? それでそんなテンション低いの?」
喧嘩、っていうか、もしかしたら聖里くんは怒ってないのかもしれないけどね。
だとしてもわたしが悪いのは間違いないから、やっぱり謝らなきゃいけない。
……その謝るのが、簡単じゃないって話なんだよな。



