朝礼開始のチャイムの音をバックグラウンドミュージックにしながら、わたしたちはゆっくり階段をのぼる。
「てか、なぎさちゃんも遅刻? 珍しいね」
「んー……たまにはね」
「なにがあったの」
「んー……べつに?」
わたしが空返事ばかりしてたら、「魂抜けすぎ!」って怒られた。
だって……だって、さあ?
一か月しかない同居生活の中で聖里くんと喧嘩するなんて。
一刻もはやく仲直りしないと、わたしに平穏な日々は訪れないんです。
「なにがあったかわかんないけどさ、元気出しなよ。せっかくかわいい顔してんのに、台無しだって」
「……今、そういう適当なフォローいらない」
「え? あー、いや、前半は適当だったの認めるけど、後半はちがうから」
コウハン……後半……?
どこからどこまでが前半で、どこから後半?
もう、頭回んないんだから、ムズカシイ話やめてよ。
「俺、わりと本気でなぎさちゃんの顔好きだから……その」
「……へっ?」
「あ、みすった、ちがう! 忘れてっ」
思わず正気に戻ってしまった。
顔好きって言った? わたしの?
慌てて隣を見たら、学年三番目にかっこいいと噂のモテ男子が耳まで真っ赤にしていたので。
「……有馬くん、かわいいね?」
「うれしくないから!」
謎の発言をしてしまいました。



