【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。





……翌日、木曜日の朝。
リビングに降りたら、ちゃんとわたしの分のお弁当まで用意されていた。



昨日、泣いて夜まで起きていたせいで遅刻ギリギリに目が覚めたわたしを置いて先に行ってしまった聖里くんの、「ちゃんと鍵閉めていってね」という殴り書きが胸にしみた。




喧嘩しててもご飯を作ってくれるやさしさと、置いて行かれたという寂しさが混ざって気持ち悪い。




……ほんと、なんであんなこと言っちゃったんだろう。
まるで喧嘩を誘発するような。




わたしはお弁当をしっかりカバンの中に入れて、とぼとぼと学校までの道のりを歩く。





生徒玄関には、もうほとんど人はいなかった。
そりゃそうだよね。あと数秒でチャイムなるもん。
まだ朝礼だからセーフ、かな。





諦めてゆっくり上履きに履き替えていると、昨日も聞いた声が話しかけてきた。





「おはよ、なぎさちゃん」


「……おはよ」





有馬くん。
いま、聖里くんとの喧嘩の中心にいる人。




決して、有馬くんのせいじゃないけど。
わたしの、せいだけど。





「なに、なんか暗くない?」


「……そうかな? それより、有馬くんも遅刻?」


「うん、ばっちり寝坊したよね」





いいなあ。
遅刻の理由が寝坊とか、平和すぎるって。