【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。







結局あのあと二人がどうなったかなんて知らないまま、わたしはいつも通りの帰路について、いつも通りの家に帰る。



聖里くんが待っているであろう、一か月限定の我が家に。




「ただいまー」




伸びきった声を出しても返事はない。
ここまではいつも通り。




ガチャ、とリビングのドアを開けて、やたらと暗い負のオーラに気づいた。





「……ひじり、くん?」






ソファに座って何も言わない聖里くんに恐る恐る近寄る。
テレビをつけてるわけでもないし……えっ、なに、ほんとに。





「ひじりくん、ねえ……?」


「なぎさ」


「ひゃいっ」





聖里くんの体を揺さぶってたら急に名前を呼ばれたからびっくりしちゃった。


いつもより声も低い気がする……。
わたし、また怒らせちゃった? でも今回は本当に心当たりないよ。




「……今日一緒にいたの、だれ」


「へ、今日? ……んー、芙実ちゃん?」


「違う。男だった」


「あ、有馬くんのこと?」





一緒に世界史の資料運んでたときかなあ。
話に夢中で気づかなかったけど、見られてたんだ。




「……有馬くん?」


「うん。同じクラスの。聖里くん知らない?」


「知らない。興味ないし」