【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。






「周音ーっ」





彼を下の名前で呼ぶのなんて、同じクラスの伏枝(ふしえだ)さんくらい。
それで、『あの有馬周音を呼び捨てなんてすごいでしょ、わたし特別でしょ』と見栄を張っている女の子。




わたしの周りでゲームの話をして盛り上がっていた男の子たちも、「また来たよ伏枝」と少し嫌味ったらしくぼやく。




伏枝さんは、端的に言ってかわいい。
顔は整ってるほうだと思う。



綺麗な二重幅ときめ細かな白い肌。
でも……なんでだろう。三滝先輩のときみたいに、守りたくなる儚さ、を感じられないのは。





「ちょっと引っ張るなよ」


「ねえっ、ご飯食べに行こうよ、いいでしょ?」





半ば強制的な誘いに、有馬くんは珍しく苦笑いをこぼしている。
伏枝さんはいつもあんな感じだけど、有馬くんも大変だなあ。





「あいつも諦めないよなー」


「有馬って誰とも遊ばないって噂じゃん?」





大して話したこともない男の子たちの会話に耳を傾けた。
誰とも遊ばない……?




「ねえ、芙実ちゃん」


「んー?」




隣で鏡とにらめっこしている芙実ちゃんに声をかける。




「有馬くんって、誰とも遊ばないの?」


「あー……有馬くんね。その噂も知らないなんて、ほんと周りのこと興味ないんだねなぎちゃん」




うっ。
興味ないわけじゃないもん。
ただわたしの耳が受信拒否してただけだもん。