【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。






「おいしい?」


「うん!」




それならいいけど、とこぼす有馬くん。
わたし、結構ラーメンよりうどん派なんだよね。



なんてどうでもいい情報、さすがに有馬くんにはいわなかったけど。





「なぎさちゃんって、おいしそうに食べるよね」


「そうかな」


「うん、幸せそう」





幸せだよ?
おいしいもの食べてるときは特に。



聖里くんの作る料理は今、わたしの中で世界一おいしいし。
だって、お母さんの手料理なんてもう味覚えてないし、しいちゃんなんてレシピ通りに作ってもノータイムで吐き出しちゃうほど料理下手だし。




……比較対象にまともなのがいないんですけど?
まあ、人の手料理なんてそうそう食べる機会ないしね。仕方ないね。





「ふわぁ、ご飯食べたら眠くなってきた」


「午後の授業大丈夫? 寝ない?」


「あは。寝たら起こしてくれる?」


「俺は席遠すぎて無理かなあ」




だよね。
わたしの席は教室の一番後ろで、有馬くんは教室の最前列から二番目だもんね。



芙実ちゃんに起こしてもらうかあー。
って、寝る前提なのも変だけど。





「次の授業なんだっけ」


「つぎは確か古典だよ」


「……うわ、絶対寝るわ」


「わかる。あの先生抑揚ないから眠くなるんだよね」





どちらからともなく立ち上がって、有馬くんがトレーを返却口に返すところまでついていって、一緒に食堂を出た。





今日ほぼはじめて喋ったのに、有馬くんって絶妙な距離感だからか話しやすいなあ。
元々そんなに人見知りするほうではないけど、有馬くんに関しては前から友達だったみたい。





そうして、わたしの数歩前を歩く有馬くんの後ろ姿を眺めながら、ぼーっと歩いていた。