「下の名前、なぎさだっけ?」
「うん」
「なぎさちゃんって呼んでもいい?」
「いいよ」
有馬くんって、前からおもってたけど、距離の縮め方上手だよね……。
いきなり下の名前でよぶなんてハードル高いもん。
聖里くんのこと最初名前で呼ぶときだって、ドキドキしたし。
「俺のことも周音(あまね)でいいよ」
「……いや、遠慮しとく」
「えー、なんで」
そういいながら笑ってるから、そこまで本気で名前呼びしてほしいわけじゃないんだろうけど。
男の子の名前呼ぶなんて、想像の何倍もハードル高いんだからね。
「なぎさちゃんは好きなものとかある?」
「うーん……ココア」
「へえ、甘党なの? じゃああれだ、コーヒーとか苦手でしょ」
「全然飲めない」
わたしの返事に満足したのか、「だよねー」って嬉しそうに笑っている。
コーヒー飲めないのバカにしてる? そしたら許さないよ、わたし。
「なんかわかりやすいよね、なぎさちゃん」
「……そう?」
「うん。甘党なのも、非力なのも、全部見た目通りだし」
「ちょ……、非力なのは女だからだしっ! わたしだけじゃないもん、絶対」
「いーや、女子の中でも最低ランクだと思うね、俺は」
……喋り始めてまだ数分なのに、すっごいからかってくる。
最低ランクですって……。



