「ていうか。それ、嫉妬? ……してくれたの?」


「ち、ちがっ」





……ちがくは、ないのかも。
本当は分かってた。
このモヤモヤの正体が、嫉妬であることも。




でもその嫉妬に理由をつけたくなかったから、自分をごまかしていたことも。





「やばい、かわいすぎ……」


「……だ、だから、嫉妬なんてしてないって……!」






聖里くんがむにむにとほほを触ってくる。
かわいい? ……かわいいか?





「三滝先輩のほうが、かわいかった」


「……」





また口に出すつもりなんてなかったのに、気づいたら声になってる。
こんなの。嫉妬してますって、言ってるようなもんじゃん。





「確かに、他の男はみんなかわいいって言うよ。……でも、俺の中の一番はいつでもなぎさだし、二番も三番もいない。唯一なんだってこと、覚えといて」


「……ん」






なにこれ。
なに、この甘い空気。
ちょっと、っていうかかなり耐えられないです。





「なぎさ、ご飯食べた?」


「たべてない……」


「じゃあなんか作ってあげる。なにがいい?」


「……オムライス」





わたしがソファの上で膝を抱えながら言うと、聖里くんは「了解」と笑いながら応えてくれちゃうから。
こうして、毎日聖里くんに甘えてしまうんだよなあ……と思いつつ。



満更でもなさそうな聖里くんも理解しているので、まだこのままでいいかな、なんて考えていた。