ーーガチャ
という、扉の音に反応した。
芙実ちゃんと解散したあと、そのまま家に直行して、聖里くんの帰りをソファの上で待っていたところ。
バイトが何時に終わるかわからなかったからずっとテレビを見て時間つぶしてたけど、夜九時。やっと帰ってきたみたい。
「ただいま、なぎさ」
「……おかえり」
名前を呼ばれるだけで心臓が跳ねた。
さっきまで苗字で呼ばれてたからかな。
「今日の、本当にたまたまだからね、あのカフェ行ったの」
「うん、わかってるよ」
わたしの隣にゆっくり腰をおろす聖里くん。
元はといえば……聖里くんと三滝先輩が廊下で仲良くしているのをみつけて、気分が沈んだから。
カフェに行こうって話になって行ったら、そこでもまた二人が仲よさそうにしているのを見せつけられて。
……結構、精神的にはズタボロ。
「仲、いいんだね」
「え。……ああ、三滝先輩のこと?」
「うん」
聖里くんとの話題に出すつもりなかったのに、自然と口をついて出た。
わたしの頭の中、ずいぶん支配されているみたい。
「ただの先輩だよ」
「ふーん」
「……なに? 不安になっちゃった?」
そんなんじゃない。
決して。