手を広げていつでも受け入れる翠くん。
わたしは翠くんを拒む理由がないから……。
「藍くん。ちょっとだけ、翠くんのところに行ってもいい?」
「……変なこと言われたら、俺に教えて」
翠くんのことをまだ疑ってる。
だけど、わたしを解放してくれたので話を聞きにいった。
「なあに? 翠くん」
耳もとにそっと近づき、小さな声で教えてくれる。
「この後、ふたりきりにさせてあげようか?」
「えっ……!」
翠くんの提案に顔が熱くなった。
あ、藍くんとふたり……!?
そうなったら、また後夜祭のときの教室みたいに甘い藍くんが……っ。
「翠聖。舞彩になに吹きかけた?」
「それはヒミツ」
シッと人差し指を口の前で立てて見せる翠くん。
教えてくれなさそうで、藍くんはわたしに聞いてきた。
「舞彩。翠聖に変なこと言われなかった?」



