「う、うん!」



さすがに目も合っててスルーするのは失礼すぎるよね。

みんなからしたら桃くんはわたしのお兄ちゃんだから、すこし恥ずかしさもあるけど小さく手を振り返した。


そしたら、もっと笑顔になって友達と向こうに歩いていった。



「桃綺先輩ってあんなんだったっけ? ファンサはしてくれると思ってた〜! 完全に舞彩に向けてたよね。夏休みでなんかあった?」

「えっ!」



なにかあったかと言えば、わたしが桃くんを振ってしまったこと。


でも、そんなことは言えず……。



「うーん、ちょっと、いろいろ……?」



うまく誤魔化しきれなかったけど、紫音ちゃんはまた別のものに興味を持った。



「あ! 今度は藍都先輩じゃーん!」

「え……っ!」