スサノオはなぎさを抱きかかえ、向こうにいる異形のものたちへと歩いた。そこから歓声が聞こえた。
 「新しい姫様が来るぞ」
 と、聞こえた。
 後ろからエミリアが続く。スサノオは砂浜を踏みしめていく。砂浜は金色に輝いていた。
 「お姫様だ」
 「なんとお美しい」
 と、異形のものどもの声が飛んだ。
 スサノオは異形のものどもに近づいて行った。やがて異形の者たちがはっきりしてくる。
 ロマンスグレーの髪の毛を後ろでまとめ、口ひげをはやした、騎士のような老人が前へ出た。
 「スサノオ様」
 と、老騎士。
 「アレクセイ」
 と、スサノオが呼んだ。アレクセイはなぎさを見た。
 「その方がなぎさ様で」
 と、アレクセイ。
 「初めまして。なぎさです」
 「初めまして。(わたくし)アレクセイ・フェンリルと申します」