「聖女、お願いですから、大人しくしていて下さいよ?」

戦争を回避する方法はないか考えていたら、城を出るなりジョニデに念を押された。

「わかってる。この前迷惑かけたばっかだし、さすがに私も反省してますー」

「全く信用ができない、、」

「ジョニデ、何気に酷いな。私は聖女だよ?」

私だって馬鹿ではない。下手に動けば捕まる可能性もゼロではないし、攻撃されてうっかり反撃しようものなら相手が無事では済まないだろう。仮にも私は聖女なのだ。自らが最終兵器の如く殺戮マシーンと化すわけにはいかない。

かといって、最初の聖女みたいに慈愛の力で改心させるのは、私では無理だろう。

魅了とか精神支配系で攻めるのも考えたけど、何かのきっかけで魔法が解けたら元に戻ってしまう可能性もある。

やはり、圧倒的な力の差を見せつけて心を折るのが確実だ。

あ、ちょっと大変だけど、時間を巻き戻して生き返らせたらいいんじゃないか?

うーん、規模によるけど、あれは魔動力の消費が激しいから、また意識を失ってジョニデに怒られてしまう。そもそも敵陣で意識失うとか、さらってくれと言ってるようなもんだ。

治癒を進化させたら生き返らせることはできるだろうか。治癒は消費が少ないし、ワンチャンあるか?

「梨花子さん、何を企んでいるんですか?」

「企むって、、治癒を進化させたら人を生き返らせることはできるかなって考えてたの」

「まさか戦争が起こったら犠牲者を全員生き返らせようとしてます?」

「まあ、それも含めて?」

「いくら梨花子さんでも、それはさすがに無理じゃないですか?」

「いや、無理ではないと思うの。例えば怪我をして死んでしまう直前まで時を戻して、そこから治癒を使えば全快するでしょ?」

「いやいやいや、それだといくら魔動力があっても足りませんよ」

「そうなの。時間魔法は消費が半端ないから治癒一本でいきたいの。それで進化できたらなって」

「聖女、どちらにせよあなたを戦場には行かせません。万が一でも敵に聖女の力が渡れば、大変なことになるんですよ?」

「ほらーすぐ反対するーだからジョニデには相談できないんじゃーん」

「聖女が無茶なことをしなければ、反対なんてしませんよ」

「私は戦争回避について考えてたんだよ!何か敵の心をポキッと折れたら諦めるかなって思ったんだけど、どうしても血祭り系になっちゃって、、」

「血祭り、、」

「そう。だけど私は聖女だから血祭りとか駄目じゃん?だから生き返らせればアリかなって」

「「ナシですね」」

「えーハモるとか卑怯だわー」