前世とは完全に異なる世界なのに、不思議と食べ物だけは似たものが出てくる。

ジョニデの故郷を出発してから、パスタが主食のイタリアンな国とパエリアが最高に美味しかったスペイン的な国。魚介も肉も楽しめる国が続いた。

海を離れて内陸に進んでからは、独特な香辛料を使うトルコっぽい国やハーブが特徴的なギリシャ風。煮込み料理が美味しいドイツ?ロシア?とか、IK○Aって感じの食事もあったな。

ここはユーラシア大陸なのかもしれないと何度か思ったけど、言葉が違うし、そもそも国の名前に全く聞き覚えがない。食文化ってのは、材料が同じだと似たような進化をするものなのかな。

そして今回の国は、お待ちかねの中華だった。

今までの料理も、もの凄く美味しかったよ。間違いなく美味しかった。

でも、フランス様が見当たらなかったせいか、海を離れてから、完全なる出汁不足だったんだよねえ。

その点、中国には鶏ガラがある!

グルタミン酸が欠乏してたのか、ここに来てからの満たされっぷりが半端ないのだ。

そして今、私の目の前に夕飯が並べられている。多分なんてことない家庭料理だと思うの。水餃子と炒飯に、今日は回鍋肉と玉子料理も付いている。

前置きがだいぶ長くなってしまったけど、ジョニデは大切な話をしたいから、わざわざ部屋に食事の用意をしたんだと思う。

本当に申し訳ないんだけど、今は食事に集中したいから、少しだけ待っていて欲しい。

、、、30分後、おなかがいっぱいになった私は睡魔と闘っていたが、さすがにジョニデが怖いので、必死で目を開けていた。

「聖女、眠そうですね?美味しかったですか?」

ちゃんと起きてるアピールで、激しく頷いてみる。

「この食堂の息子なんですよ、転生者」

え?そうなの?

「7年前にこの食堂の夫婦の養子になって、その前は近くの村で店主の父親と暮らしていたそうです」

「そっか、じゃあ、わりと、早めに発見、されたのかな?良かった、、」

「教会が彼のことを把握していないのに、完璧に魔力を操っていて驚きました。鑑定はできなかったので詳しいことはわかりませんが。事前にもう少しだけ探りを入れてから、本人にそれとなく話を聞いてみようかと思いますが、聖女はどうしたいですか?」

「うーん、そうだなあ、うーん」

ごめん、ジョニデ。眠過ぎて、全然頭が回らない。