その後私達は、教会を転々としらみ潰しに移動した。転生者かもしれない男の子を見落としたくなくて、宿がないような小さな村にも立ち寄った。

10年間森の中で眠り続けた私という前例もあるので無駄骨かもしれないけど、ひと通り回って村や町で見つからなかったら、森の監視を強化すればいいよね。

それに、捜索を抜きにしても、世界中を旅して回るのはとても楽しかった。

どこに行っても聖女の私は大歓迎されるし、癒し会はいつも大盛況。各地で美味しい物を食べまくり、心なしかふっくらしてきた気もするけど、きっとただの成長期だろう。

もちろん、暇さえあれば魔法の勉強と訓練は欠かさず、師匠であるジョニデを追い落とす勢いである。

森を出てからもうすぐ3年。旅の途中、誘拐されそうになったり殺されそうになったりと、かなり色々な目にあった。そのほとんどが王国によるものだったため、襲撃を受ける度にレオ様が目にみえて落ち込んでるのが、ちょっとかわいそうだったけど。

その一方で、あれこれ対策している内に私は着々と無敵聖女になりつつあり、最近襲撃がないのをむしろ残念に感じていることは、絶対に秘密だ。

そんなこんなで、あと数ヶ所で教会を回りきってしまう。

最後は王国に次ぐ規模の国で、3日前に大きな街に到着した。

この街での癒し会を終え、これからここを拠点にして、周辺の小さな町や村を訪問する。

万全の体制を整えてから王国に入るため、しばらくこの街に滞在するつもりだ。王国に行きたくなくて悪あがきをしているわけでは、決してない。

ぶっちゃけ、あれ?王国に行くのなんで先延ばしにしてたんだっけ?ってくらいに強くなっちゃってるしね。

聖女じゃなくてやっぱ魔王だった説が、私の中で流れ続けてる。いつか私の中の魔王が暴れだして制御が効かなくなるかもしれない、、みたいな中二病っぽい妄想も捗ってしまうお年頃だ。

まあ実際に14歳は日本だったら中学2年生、思春期真っ盛りだ。

道理で最近イライラすると思ってたら、更年期じゃなくて反抗期だったのか、、

ベッドに横になってサルと戯れながらそんなことを考えていたら、ジョニデがレオ様を連れて部屋に入ってきた。

「今日、聖女と同種の魔力を持った少年を見かけました。聖女と共に召喚された転生者で間違いないと思います」

なんと、本当にいたのか。