次の国は海沿いを北に向かって1週間ほどでつくらしい。

訓練施設のような魔法を通さない結界を張れば、どこでも好きに魔法の練習をしてもいいと言われたけど、馬車の中でできることなんて限られてるよね。

魅了の実験台にされたくなくて従者の3人はみんな外にいるし、ジョニデの魅了に挑むくらいしかできることがない。

そして、魔法の本に比べると、薬草の図鑑はあまり萌えないのだ。

「ねえジョニデ?魔法で空を飛べたりする?」

ジョニデが少し考えてから答える。

「そういった文献は目にしたことがないですが、物を浮かせるというのなら聞いたことがあります」

「物を浮かせる、、それは重力系の魔法なのかな?」

「じゅうりょく?」

「うん、重力。え?重力って概念がない感じ?」

嘘でしょ?もしかして、この世界は丸い惑星じゃない?そうだったとしても、重力って必要じゃないの?ん?そうでもないのか?

「じゃあ、召喚はどの属性になるの?属性って概念はあるんだよね?」

「はい。土・水・風・火・雷・光・闇が知られていますが、召喚は神聖魔法で光に属してます」

そっか、転生は転移と違うから、空間魔法じゃないのか。空間魔法は何属性になるのかな?

空間属性とか時間属性とか、それこそ重力属性も、私が知らないだけであるのかも?それとも、なんにも属さない無属性ってのもありうるのか?

私の魔法の知識のほとんどは恋愛系のラノベから得たもので、魔法の記述はオマケ程度のものだから、そこから得た知識はたかが知れているのだ。

ああ、ググりたい。

「次の街にも図書館あるよね?」

「はい。規模の違いはありますが大体どの街にもありますし、神殿が人材育成のために魔法に関する書物を各国に支給しているので、ある程度必要なものは揃っていると思いますよ」

魔法はワクワクするけど、やっぱり科学の方が便利なのかも。魔法には万能感があるのに、どうしてなのかな?この世界は魔法に頼り過ぎてて、探求心や向上心が足りてないのかもしれない。

「私って100歳くらいまで生きられるんだよね?」

「はい?ああ、そうですね。おそらくは」

あと90年もあったら、できないことなんて何もないんじゃない?

「ジョニデ、できるだけ長生きしてね。私が新しい魔法をいっぱい見せてあげるから!」

ああ、ワクワクが止まらない。