ここなは、今日もいつものように登校した。ポニーテールだった。ピンク色の大きなリボンをしている。ピンクのハイカット丈靴下をはいている。ピンクの腕時計を付けている。らくがきのしてあるスクールバッグを持っている。スクールバッグにはキーホルダーがついていた。
 教室に入った。
 「おはよう」
 と、ここな。
 「あ、ここなんだ」
 と、男子たちが口々にいった。
 「よお、ここな」
 と、飛鳥(あすか)。飛鳥は銀髪をアップにまとめていた。
 「飛鳥」
 と、ここな。そこへ、チセが入って来た。
 「あ、黒田さんだ」
 と、クラスの男子。
 ここなはチセを見た。相変わらず、暗い茶色のショート。前髪がたれていた。黒いタイツをはいていた。
 「黒田さんて性格悪いよね」
 と、女子。
 「性格ワルが来た」
 と、男子。
 「性格わるが、出てきたぜ」
 と、男子。
 「性格最悪」
 「性格悪いやつ」
 「不気味だよねえ」
 と、女子。
 「さもそんな感じで歩いてるよな」
 「普通に歩いてほしいよね」
 「みんなと同じように歩いたらいいよねえ」
 ここなは、それらのやじを聞いていた。
 チセは席についた。
 「性格ワルが座ってる」
 「髪の毛わけてるよな」
 「わけなくていいよね」
 「小説書くやつじゃないよねえ」
 「それなー」
 「ああいうやつじゃない」
 「そんなんじゃない」
 ここなは、黙ってやじをきいていた。
 チセは本を出し、読み始めた。
 「あ、黒田さんがなんか読んでるう」
 と、女子。
 「漫画でも読んでた方がいいよねえ」
 「性格わるいよねえ」
 「悪いのは、性格のほうだよねえ」
 「「ウルフちゃん」を出ろ」
 「プロじゃないだろ」
 「素人だろう」
 「プロとか素人とかないんだろう」
 「お前みたいのが書くものじゃない」
 「性格ワルが書くもんじゃない」
 ここなは両手の握りこぶしを握った。汗が出た。
 「ひどいよなあ」
 と、飛鳥。
 「・・・・・・・」
 と、ここな。
 「何読んでんだ」
 「漫画でも読んでろよ」
 「性格ワルが出てきた」
 「ちゃうさー」
 「男の本かな」
 「女の本かな」
 「そんなに顔悪くないよなあ」
 「顔のいい奴」
 「顔のいい奴は心が・・・・・・」
 「お前がダメなのは性格だろう」
 やじはわけがわからなかった。
 「何いってんだよ。こいつら」
 と、飛鳥。
 「正直不気味だぜ」
 と、飛鳥が続けた。
 「言動異常者だぜ」
 と、飛鳥。
 ここなは、チセの席へ行った。
 「ん?」
 と、飛鳥。