ここなは、今日もいつものように登校した。ポニーテールだった。教室に入った。
 「おはよう」
 と、ここな。
 「あ、ここなんだ」
 と、男子たちが口々にいった。
 「よお、ここな」
 と、飛鳥。
 「飛鳥」
 と、ここな。そこへ、チセが入って来た。
 「あ、黒田さんだ」
 と、クラスの男子。
 ここなはチセを見た。相変わらず、黒髪のショート。前髪がたれていた。
 「黒田さんて性格悪いよね」
 と、女子。
 「性格わるが、出てきたぜ」
 と、男子。
 「不気味だよねえ」
 と、女子。
 「さもそんな感じで歩いてるよな」
 ここなは、それらのやじを聞いていた。
 チセは席についた。
 「性格ワルが座ってる」
 「髪の毛わけてるよな」
 「わけなくていいよね」
 「小説書くやつじゃないよねえ」
 「それなー」
 ここなは、黙ってやじをきいていた。チセは本を出し、読み始めた。
 「あ、黒田さんがなんか読んでるう」
 と、女子。
 「性格わるいよねえ」
 「悪いのは、性格のほうだよねえ」
 「「ウルフちゃん」を出ろ」
 「プロじゃないだろ」
 「素人だろう」
 ここなは両手の握りこぶしを握った。汗が出た。
 「ひどいよなあ」
 と、飛鳥。
 「・・・・・・・」
 と、ここな。
 「何読んでんだ」
 「漫画でも読んでろよ」
 「性格ワルが出てきた」
 「ちゃうさー」
 「男の本かな」
 「女の本かな」
 やじはわけがわからなかった。
 「何いってんだよ。こいつら」
 と、飛鳥。
 ここなは、チセの席へ行った。