ここなは、1年C組だった。同じクラスにモデルの高瀬帳がいたが、興味はなかった。それより、黒田チセという不気味な女子が気になった。
 4月。
 ここなはポニーテールにしていた。ピンクの大きいリボンをしていた。腕にはピンクの腕時計。ピンクのハイカット丈靴下をはいていた。
 自己紹介で、教壇の前で「宇宙一の美少女、橋本ここなでえす」と両手の人差し指をほほについて言った。男子たちが歓声をあげた。
 「うをお、自分で言うことだけあるぜ」
 「(きゅん)
 と、男子が両手でハートマークを作っていった。
 しかし、高瀬帳だけは興味を持っていない様子であった。
 「こらこら橋本さん、自分で宇宙一の美少女って」
 と、担任の吉田祥子先生が言った。吉田先生はスレンダーで眼鏡をかけていた。タイトな黒いスーツ、ハーフスカートを着ていた。黒いヒールをはいていた。足は長く背が高かった。
 「よろしくお願いしまあす」
 と、ここなは笑顔でいった。
 「うをー」
 男子たちが歓声をあげた。 
 以来、学校でも有名になり、学園のアイドルと、なった。キャッチフレーズは「宇宙一の美少女、みんなに愛されるみんなのアイドル、橋本ここなでえす」だった。