橋本ここな

 そいつは、驚くほど白い髪をしていた。

 それはまるでボタン雪みたいな白だった。

 ここなには幼馴染(おさななじみ)がいた。父親の友達の子供でときどき一緒に遊ぶ子がいた。男の子と思っていた。トイレとかお風呂とか着替えとかも男の側だった。一緒にトイレへ行ったり、着替えたり、お風呂に入った記憶もない。風祭飛鳥(かざまつりあすか)と言った。

 野いちご学園高等部に入学して、初日、同じクラスで会ったのだ。
 それは、長い髪をアップにまとめた髪型の女子だった。銀髪だった。大きい目で瞳が朱(あか)かった。グリフィンのエムブレムのついた青いブレザーに、白いブラウス、胸にリボン。チェックのスカート姿だった。青いハイソックスをはいていた。スクールバッグを肩に手をやって背中にかけるという男の子の持ち方をしていた。胸が大きかった。
 「久しぶり、ここな」
 と、その女子は言った。男の子っぽいしゃべり方だった。
 ここなはポニーテール。ピンクの大きいリボン。ブレザーに白いブラウス、胸にリボン、スカート。STARTSIOのピンクのnoichigo-Gの腕時計を手のひら側につけていた。ピンクのハイカット丈靴下をはいていた。
 「え」
 と、ここな。頭の上に?マークが浮かんだ。
 「え、忘れちゃった」
 「だ、誰?」
 「俺、俺」
 「どちらの俺様で?」
 「俺だよ、風祭飛鳥(かざまつりあすか)」
 「え」
 かざまつりあすか?そういや、小さいころそういう名の男の子と遊んでたな。
 「えええええええええ、飛鳥(あすか)女の子になちゃったのお」
 「そうなんだよ、魔法使いに呪いかけられてさあ」
 「うそおおおおおおおおお」
 と、ここな。いやいやいやそれは嘘だ。飛鳥(あすか)は最初から女だったんだ。でもトイレとか、お風呂とか、着替えが、男の側だったのは?男として育てられてた?
 「トイレとか、お風呂とか、更衣室とか女の子側じゃなくちゃだめでさあ」
 ええええええええ。要するに、年頃になって、トイレやお風呂、着替えは女の側になったんだ。
 「はは」
 と、飛鳥は笑っていた。
 「はははw」
 と、ここなは苦笑いした。