この恋の化学反応式

花火大会当日

私は先生が言ってくれた通り、息抜きとして友達を誘って花火大会に行くことにした、、んだけれど。

『急に風邪ひいちゃって、花火大会行けなさそう、、、。 本当にごめんね!!』

待ち合わせ場所で、なかなか来ない友達にメールを打とうとアプリを開くとそんな文章が。

(さすがに1人で花火大会はなぁ、、せっかく来たけど帰るか、、)

そう思い、踵を返すと誰かにぶつかってしまった。

「わっ、、」

「すみません。大丈夫ですか?」

「はい、、私もすみません」

今日はついてないなと思いつつ顔を上げると、

「え、先生!?」

見覚えのある茶髪に、いつもとは違う私服姿の先生がいた。

「有川!?、、偶然だな。待ち合わせか?」

「待ち合わせ、、、友達としてたんですけど風邪で来れないらしくて。さすがに1人で花火大会は気まずいので帰ろうかなと思っていたところです。先生こそ待ち合わせですか?」

「それがさ、俺も待ち合わせしてたんだけど色々あって相手が来れなくなってどうしようか考えてたんだよ」

偶然だなと面白そうに笑う先生。

へぇーと頷いたが、あることが引っかかった。

「それって彼女ですか、、、?」

勇気を出して聞いてみる。

「え?彼女?いや全然、ただの男友達だよ。彼女いないし」

「えっ!?先生、彼女いないんですか?」

聞き返しつつ私の心は喜びでいっぱいだった。

「逆にいるように見える?それは嬉しいなーー」

嬉しそうにはしゃぐ先生を横目に、私はある事を思いついた。

「あ、あの、、!」

勇気を振り絞って声を出す。

「せっかくなので一緒に花火、、見ませんか?」

「え?」

「いや、あのっ!せっかく来たのに帰るなんて勿体ないなー、、、って思ったんですけど、、どうですかね、、?」

慌てて言葉を紡ぎながら、先生の顔がどうしても見れずに視線をさまよわせる。

先生は何度か瞬きをした後に、快諾してくれた。

「いいよ。1人で花火見るのは寂しいなーって思ってたし、有川のために炎色反応の復習授業が出来るしな」

「炎色反応くらい分かるんですけど、、」

先生の冗談がおもしろくて私は笑った。

暗くなりかけた空に星が輝いていた。