利瀬くんの甘さに溺れたら


珍しいこともあるもんだなぁなんて呑気に思っていたら。



「…瑠々は今、誰のことを考えてるの?」



気付かぬうちに、すぐ目の前に利瀬くんの顔があった。



一歩でも動いたら、互いの鼻と鼻がくっついてしまいそうな距離。



ドクンと心臓が飛び跳ねて、一気に体温が急上昇していく。



「っ…!?り、利瀬く…」



「…こんなに近くにいるのに、瑠々の頭の中が全然わからないや」



っ…な、な…。



「なに、言ってるの…。私だって、わからないよ…?」



「…ほんとに?」



ほんとに?って…。



「っう、うん…」



「ふーん……」



ふーん…じゃないよ、利瀬くん。



利瀬くんが何を思って今こうしているのか、私にはさっぱりだけど…。



今の私の頭の中は、利瀬くんでいっぱいなんだよ。



今までで一番意味わからない行動をとってる、ちょっと変な利瀬くんのことで頭がいっぱい。



私の方が、利瀬くんの頭の中を覗きたいってもっとずっと思ってる。



「…あのさ、さっき言ってたお願いのことなんだけど」



「うん…?」



「俺と一番に回って欲しい」



「っ…!!」