「見つけた!」

 先生が上から覗き込んできた。
 あ、話の途中なのに……。

「今の大きい声でここにいるってわかったけど、何かあったの?」
「い、いえ、何も……」

 それからふたりきりになれるチャンスがなかなかなくて話をするタイミングが見つからなかった。

「ふたりになりたい!」とも言えなくて。
 でも、話をするタイミングが訪れても一体何を言えばいいのだろう……。

「実はそうなんだ! 神谷くんが好きなの」って気軽に言えそうにもないし。もし言えても神谷くんがそれに対してどんな反応をするのか考えるだけで怖い。

 もやもやしたまま合宿の1日目が終わった。