優衣ちゃんに上着を貸したばかりで、まだ一緒に過ごせると思ったのに。
「…もう一回やろ!泣きの一回!」
「えー…。寒いから嫌だ。鼻がトナカイとか言われるし」
「分かった!トナカイとか言わないから!」
俺の上着を脱いで帰ろうとする優衣ちゃんを、言葉で説得しても居てくれないのは、もう知ってる。
だったら行動で説得すれば良い。
離れていく優衣ちゃんの腕を掴んで俺の方へ引っ張り、無理やり隣に座らせる。
「…ちょっと!」
抵抗も聞かず、引っ張った腕がまた離れないように、俺の腕を絡めて。
「引っ付けば寒くないでしょ?手も繋いでたら、あったかいよ」



