「ううん。俺は大丈夫だから」 「…ありがと」 上着をかけた後、持ってもらっていた線香花火を受け取ると、 俺の手の甲に優衣ちゃんの指先が当たった。 ほんの少し当たる程度だったけど、俺にとっては胸が強く締め付けられて。 ドキッとしたのが花火に伝わったのか、火種が落ちてしまった。 「あ、落ちちゃった…早くない?今火つけたばっかりだよ?」 「文句言わないの。花火は終わるから儚くて良いんじゃない。じゃあ私の勝ちね」 もう終わってしまった。