「…仕方ないな。一本だけだよ」 「やったぁ。じゃあ、これどうぞ」 ほら、折れた。 俺のお願いに弱いもんねと揶揄いながら、今度こそ渡すと、口角を上げて受け取ってくれた。 ライターの火をつけると、〝私もつけたい〟と火に近づく。 ということは、自然と俺に近づいてくれるわけで。 それを狙って優衣ちゃんに火を近づけなかった俺は、ずる賢い。