ヴァンパイア王子と秘密の甘い独占契約

「甘い匂いがする……」


いきなり、喉がカラカラにかわいた時に出るようなかすれた声がきこえた。


たしかに、私の香水は甘めの香りがするけど、それがどうしたんだろう……?


おそるおそる、固く閉じていたまぶたをこじ開ける。


完全にふたが開けられてしまった棺桶からは、一人の男子生徒がはい出ていた。


おばけ……、じゃなくてヴァンパイアかな。


私と同じ学校の制服着てるし、体も透けてないし、足もある。


でも、ものすごくぐったりしていて不安になる……。


このままほっとく……のは、さすがにかわいそうだよね。