「聞いてよー! 昨日飲んだ人間の血が、ものすっごくまずくてさ~」

「例の、先輩が推しを眷属にしたって噂、本当なの?」


もうこれでわかるかもしれないけど、ここはヴァンパイア高校生のためのヴァンパイア学園。


唯一私だけが人間で、この事実を隠して学校生活を送っている。


なぜって、もし私の正体がバレたら、誰かに血を吸われて眷属にされるかもしれないから――、っていうのもあるけれど。


一番の理由は、私がこの学校で表向きヴァンパイアという体で、周りに話を合わせて生活してるから。


今は良くても、今後「実はヴァンパイアじゃなくて人間でした」って周りにバレた時、「私達を騙してたの?」って白い目を向けられるかもしれないでしょ?


ううっ……。


そんなことを考えたら、全校生徒に軽蔑される光景が、かなりリアルに想像できちゃった……。


自分以外ヴァンパイアとの高校生活は大変だけど、学校に居辛くなってしまうのだけは絶対に嫌だから。


今日も私は、この大きな秘密を大切に守り通して生活している。