ヴァンパイア王子と秘密の甘い独占契約

「だ、大丈夫?」


私は男子生徒に近づいて、おそるおそる声をかけてみた。


すると、彼はすぐに私の声に気付いて、「うーん……」とうわごとのような返事をする。


よかった……。意識はちゃんとあるみたい。


それにしてもこの人(?)、近くで見るとすごくかっこいいな……。


サラサラの黒髪に、きめ細かな白い肌。


まつ毛は長くて、顔はちっちゃい。鼻筋はスッと高く通っていて、薄い唇は整った形をしている。


ヴァンパイアって、基本美形ばっかりなんだけど。


このヴァンパイア男子は、私が見てきた中で断トツで一番のイケメンだと思う。


っていうか、同じクラスの御影曜(みかげよう)くんじゃん!


クールでかっこよくて、女子からは『王子』って呼ばれて騒がれてるあの御影くんじゃん。


で、なんでこの人、こんな狭い所にいるんだ……?


かくれんぼはさすがにないとして、ファンの女子から身を隠していたとか?


うん。ものすごくあり得そう!


一人で仮説を立てて、一人で納得していると、


「お腹すいた……」


と、御影くんの薄い唇がほんの少し開いた。


「甘い匂い……。その血、ちょうだい……」