婚約者の心の声を知りたいと流れ星に願ったら叶ってしまった

 特に外国との玄関口である港町で商売する者は、世間話をしながら笑顔で犯人を懲らしめていくことで有名だ。なんとも誇らしい領民である。
 だが、普通の令嬢は自分で馬を駆けることはしない。本来守られる立場なのに護衛を差し置いて、悪漢を一人で懲らしめることもしない。まして、可憐な容姿で相手が油断することを見越した上で、怖がるふりをして敵を罠にはめようとは考えない。そして、細腕とは思えない握力で敵を圧倒し、時には回し蹴りで成敗するなんて――。

(言い訳は……見苦しいですね。でも一体、どうしたら……?)

 無言で見つめ合う状態は、恋のドキドキというよりも、獰猛な野生動物と遭遇してしまったドキドキに近い。やがて長い沈黙を破ったのはエリオルだった。

「……怪我は」
「ございません」

 即答すると、エリオルは無言で頷いた。そして、おもむろに手を差し出してきた。
 内心首を傾げつつ、その手に自分の手を載せる。

「片付けは警備の者に任せよう」