環くんは、フォーク化現象に悩まされている


どうしようもないほど震えてしまう、私の体。

心の奥に闇を押し込んで平気な顔でいられるほど、私は器用じゃなくて。


「住んでるの? 二人は……一緒に……」


心のザラザラを吐き出すように、泣きそうな声を震わせてしまった。



私の知っている環くんは、女子嫌い。

味覚がないフォークで。

ケーキの私以外には、心を開かない人で。

女子と同居なんて、絶対にないとは思うけど……


「あっ」と重なる男女の声。

驚き声のタイミングも、ピッタリなんて……

気まずそうに顔を見合わせる環くんと仁科さんを見て、嫉妬心が疼いてしまう。



環くんは、だるそうに髪をかきあげると


「……まぁ……そうね」


歯切れの悪い声を漏らした。