半年前。
 朱華学園を受験していないのにある日突然、合格通知が来て断ったにも関わらずこの春、半強制的に入学させられてしまった。

 ──それも全部、学園長先生の仕業だ。
 今でも忘れない。
 あの恐ろしいほど整った容姿で、ニヤリと不敵に笑った学園長先生の顔を!!


「パートナーに守ってもらうかわりに、血を対価にあげるなんて聞いてなかったし!!」


 入学式の説明会で知らされた時には、目玉が飛び出るくらい驚いた。
 でも、卒業までパートナーを選ばなければ良いと楽観視していたら、入学して一ヶ月以内にパートナーを決めなければいけないことが発覚した。


 結局パートナーが決まらないまま、ずるずると日は経って、ついに期限日が明日までに迫っていた。


 ……いっそのこと、退学してしまおうか?


 でも学園長先生が手を回したのか、お父さんとお母さんは朱華学園が、吸血鬼と人間が共存する学園だとは知らない。

 なら、退学の理由はどう伝えれば良いのか。


「とにかく、パートナーを探すしかない……よね」


 明日の十八時まで、残り三十時間。
 これは、私の退学が決まるまでの時間でもある。

 私は重たい足取りで、生徒相談室をあとにした。