足早に物品庫に入ると、ほっとした。

苦しい水の中から、顔を出せた感じ。

もちろん人なんかいなくて、暗くて静かなだけの場所なのに、おかしいな。


別に、真面目ぶってなんかない。

眼鏡だって好きで掛けているわけじゃない。

髪だって、みんなみたいに流行や似合うスタイルにしてみたいって、思ってる。


わざと地味にしているのには、理由がある。


でも、その理由のせいで、いつのまにか引っ込み思案になって自信が持てない性格になってしまった、ってことには気づいていたけれども……。


「はぁ」


やっと一人になれた、っていうのに、ため息が出る。


私の世界は苦しくて、生きづらい。


なにか見えない重圧にさらされ続けている――生まれた時から、ずっとそんな気がして生きてきた。


もし、この不可解な重苦しさから抜け出せることができたら。

私の人生は、どう変わっていくんだろう――。


ガチャ。