私はいつも慧くんに守ってもらっていた。

なのに、私は慧くんになにもしてあげられなかった。

これじゃ、慧くんと出会う前の自分と同じじゃないか。


ほとんど眠れないまま朝を迎えると、私はいつもより早くに学校に向かった。

対して慧くんは「今日は学校を休む」と私にメッセージをくれていた。

昨日の苦しげな様子がまだ続いているのかもしれない、と考えると、余計に私は落ち着かなかった。


「おはよう、新奈ちゃん。って、どうしたの、顔」


と、話しかけてきてくれた美菜ちゃんは、驚きの声をあげた。

私は苦笑した。


「うん、昨日はほとんど眠れなくて」

「どうしたの? なにか悩みごと?」

「ん……」


私は美菜ちゃんに昨晩のことを話した。

朝早く来たのも、実はこのためだった。

美菜ちゃんなら、なにか分かるかもって思ったから。