掃除を終わらせて、あとは物品庫に道具をしまうだけだった。

数が多い。

一人で一回で運ぶのは無理だった。

でも、他の当番の子に声を掛けるのも気が引けた。

二回に分けていこうと思い、私は道具を両手いっぱいに抱えて物品庫に向かった。


あ、そうだ……。


道具の点検報告書をついでに出しておけば、もっと早く帰られることに気づいた。

教室に引き返すと、はしゃいでいた男子と女子の会話が聞こえてきた。


「あいつ、一人で行っちゃったけどいいの?」

「いいよ別にー。真面目なやつにやってもらえれば楽じゃん」

「あはは、ひでー」

「だってあいつ、掃除なんて、みんなでてきとーにやればいいのに、一人で真面目にやってさ、点数稼ぎのいい子ちゃんって感じでキライ」

「って、あいついつも一人じゃん」

「真面目ちゃんだから他とつるむのが嫌なだけじゃないの? こっちだって、あんな眼鏡かけて髪なんか伸ばし放題の暗い女、おことわりーって感じ」


私は廊下を引き返した。