「もう、行こうか」 「うん……」 元気がない慧くんのことが気になって仕方がなかったけれど、どうしてかもうこれ以上訊いてはいけない気がして――私はうなずくしかない。 慧くんはやさしく手を握ってくれる。 辺りはもう真っ暗だった。 大きな道路に出たところで、不意に慧くんの手の力が強まった。 「新奈。しばらく、会えなくなっても大丈夫か?」 「え?」 思わず足を止めて、私は慧くんを見上げた。 会えなくなる、って――だってもう少ししたら慧くんの……。