逃れようとのけぞろうとするけれども、慧くんの片腕が私の背中を抱き締めていてびくともしない。
繰り返されるキスの合間から、必死に声をもらす。
「だ……め……っ」
気持ちよすぎて、なんだか――
「から、だが……おかしくなってきたから――んっ」
押し倒されて、身体全体に慧くんの重みを感じた。
さらにパニックになって、ドキドキと鼓動が速くなる私の首筋に、慧くんが唇を押し付けた。
「ひゃ、ん、だ……っ」
慧くんの指が、私の胸元のボタンを器用にはずそうとする。
「や、ん……だ、めっ、慧くんっ」
か細い私の声は、夜の闇が増した空に消えていく。
こんな所で、こんな……。
泣きそうになるけれども、頭も身体も麻痺されて、甘い感覚に押し流されそうになる。
慧くんは、どうしてしまったのだろう。
こんな強引なの、慧くんじゃない。



