「ありがとう。いつもいつも、助けてくれて」
「あたりまえだろ。そうするって約束したんだから」
慧くんの声は力強い。
「いつどんな時だって、俺はおまえを守りたい。――でも、今日は悪かった。危険な目に遭わせたのは事実だから」
ぎゅっと私の手を握ってくるその強さには、悔しさがにじんでいた。
「ううん。私が不注意だっただけだよ。それに、慧くんだって事情があるんだろうし、いつも一緒にいられるわけじゃないでしょう?」
慧くんはなにも言わない。
ただ黙って空を見つめている。
にらんでいる、みたいに……。
「……どうしたの?」
「なんでもないよ」
訝しむ私を慧くんはぐいっと抱き寄せた。
「こーんなかわいいコに手出しやがってって思い出したら、腹が立っただけ」
慧くんは、そっと私の頬に手を添えた。



