「そんな新奈ちゃんだから、慧くんの溺愛っぷりもすごいよね! 慧くんって、前は女の子には誰にでもやさしいみんなの王子様って感じだったけれど、今は新奈ちゃんだけに夢中のヒーローキャラだもんね」

「そう見えてるの?」

「うん、みんな言ってるよ。でも、それもいい! って女の子たちはキャッキャしてるけど」


なんだか、申し訳ないような恥ずかしいような……。

けど、私、少しは慧くんの隣に立つのに相応しい女の子になれているのかな、と考えると、うれしい。


「だから今日はほんとレアだよね。慧くん、一緒に帰らなくていいんだ?」

「うん。なんか慧くん、今日は事情があるみたいで」

「そうなんだー。慧くんって、みんなから頼られて慕われているからなぁ、なんかのお手伝いとかに行ってるんだね。新奈ちゃん、妬かない?」

「えええ、妬かないよぉ。誰にでもやさしいのは慧くんのいいところだし」

「さっすがー! ラブラブだとお互いの信頼関係もちがうね!」

「もう……! 美菜ちゃん、さっきからからかい過ぎ!」

「あははは」


って言うけど、いつも一緒にいる慧くんと離れているのは、ちょっと寂しい。

……けど、こうして美菜ちゃんとデートできるのも、うれしい。


こんな贅沢な気持ち、慧くんと出会う前なら縁がなかったな。